from27

ゲーム、読書、映画その他。気づいたら27歳。

【ゲームレビュー】十三機兵防衛圏【ネタバレなし】

まず値段がたけえ。ゲーム性が不明。ノベルゲー?興味ない。

と、思っておりましたが、職場の人に勧められてやってみたら、神ゲーでした。口コミってすごい。

 

○良い点

・絵

・ストーリー、キャラクター

 

○各項解説

 

・絵

 

絶妙なタッチ。個人的にはアニメっぽい絵のゲームってちょっと苦手で、それでペルソナとかテイルズとかあんまハマれないのだが、十三機兵の絵は良いと思った。

 

柔らかい、水彩っぽい、筆の跡が見えるような絵で、可愛らしさとカッコ良さと美しさが共存している絵だと思った。

背景も描き込みが素晴らしく、スタッフの情熱を感じた。

 

キャラがアニメーションで動くのだが、その動きも滑らかで、時にはコミカルで、見ていて飽きなかった。

 

・ストーリー、キャラクター

 

これに尽きる。SFがちょっとでも好きなら絶対に続きが気になると思う。

プレイヤーキャラの13人それぞれに違うジャンルのストーリーが割り当てられている。

 

宇宙人との交流

タイムリープ

記憶喪失と殺人の過去

タイムスリップ

人格操作

 

等々・・・

 

13人は多いな、覚えられないなと思ったが、誰でも13人のうち誰かは好きになることができて、その結果ストーリーが気になり、他のキャラのストーリーも進めて、その結果そのキャラのことも好きになり、という具合で進めていると結局全員のことが好きになり、エンディングを迎えることとなる。

 

結局13人全員の名前と個性はすぐ頭に入って、皆それぞれ自分にとって大切な存在になった。

 

と、ネタバレのことを考えるとこれしか書けることは無い気がする。

 

もう一度記憶を消してプレイしたい。

 

13人それぞれの人生を、それぞれと一体化して体験する、ゲームでしかできない経験があった。

 

◯総評

 

最初はたけえと思ったが、これならフルプライスで文句ない。

もっと売れて欲しい。

 

クリア後も余韻が冷めず、設定資料集を買ってしまった。

 

色々言いたいことはネタバレありの感想で書きます。

【ゲームレビュー】龍が如く7

龍が如くシリーズの存在は知ってたけど、作品が多すぎてやる気にならず、放置していました。

 

職場の人に7だけでも全然楽しめると勧められ、やってみたところ、最高でした。

 

○良い点

・キャラクター

・ストーリー

ミニゲーム「会社経営」

 

○各項解説

 

・キャラクター

主人公がいいやつ。やっぱり強くて優しい、っていうキャラクターは最強だと思った。応援したくなる、つまりストーリーが気になる。

 

俳優を3Dモデル化したキャラクターたちは、なんだかんだいってテンションが上がる。

中井貴一堤真一安田顕、それぞれカッコいい。

 

序盤を横で見ていた妻も、中井貴一だ!と気づいて、しばらくムービーを一緒に見ていた。これがモデルのないただのオリジナル3Dモデルなら、なんか夫がヤクザのゲームやってんなーとしか思わなかったことだろう。

 

主人公以外のキャラも、人間味があって良い。現実世界を舞台にしているから、感情移入もしやすい。裏社会を自分の目で見るというゲームでしかできない体験が、ひたすら楽しかった。

 

中井貴一堤真一のキャラがとにかく良かった。どっちもめちゃくちゃ渋い。

 

・ストーリー

 

粗を探すことはできる。勢いで処理している部分、ゲーム的に誤魔化している部分は確かにある。でも、それを補って余りある、熱いエピソードの連続だった。

 

「受けた恩は絶対に返す」「居場所の無い人間に居場所を作る」「約束を守る」という単純だが力強い動機によって動く主人公と仲間とストーリーは、続きが気になってしょうがなかった。

 

気になりすぎて、レベル上げが面倒に感じたが、土日で終わる程度だったので許せる。

 

ミニゲーム「会社経営」

 

ミニゲームの会社経営が面白すぎた。

売上金額と株価がどんどん増えていくのが気持ち良く、依存性があり、一位になるまでぶっ続けだった。

役員報酬で所持金も増え、アイテムも買い放題、タクシー乗り放題で、ストレスが緩和されるのも良かった。

 

○総評

 

戦闘がちょっと面倒だった。でも、じゃあムービーだけ見たいのかと言われると違う。自分が春日一番を操作し、戦い、春日一番の人生を自分のものとして体験することが肝心なのである。

 

小説、映画、マンガ、アニメでは決して体験できない、他人の人生を生きている感覚がある作品だった。

 

職場の人に、次は何をやるべきか聞いて、ほかのシリーズもプレイしたいです。

【映画】スカイ・クロラについて考察

ところどころ断定しているところがありますが、あくまで私の考察です。

反論は受け付けます。

 

(1)まえがき
押井守監督作「スカイ・クロラ」を、2008年の映画館に父と一緒に観に行った時、私は13歳でした。
そして押井監督は言っていました。
「若者たちへのメッセージを、この映画に込めた」と。
自分のことを「若者」だと思っていた私は、そのメッセージが全くわかりませんでした。
それでも、私は、この映画の持つ「何か」に惹かれ、人生で、ふと思い出した時に、意味がわからないなりに、DVDで繰り返し観ましたが、高校生になっても、大学に入学しても、何回観ても、自分は若者のはずなのに、そのメッセージがわかりませんでした。
しかし、大人になって、観た今、全てがわかりました。
この感動を残しておくべく、今キーボードを叩いております。
またこの映画が、難解、とか、駄作、とか、攻殻機動隊はよかったけど・・・とか、そういうことを言われているのが、非常に悔しいので、書かざるを得ないです。

押井守さんに捧げます。

(2)各年代ごとの感想
肝心の気づきに触れるまえに各年代ごとの感想を簡単に下にまとめます。
○13歳(初回)=素直
・プロペラが後ろにある飛行機がかっこいい。(今も思う)
・セリフがかっこいい。(今も思う)
・ストーリーがよくわからん。
・女性キャラがかわいくない。(今も思う。けど、今となってはこれも演出だったということがわかる)

○高校生〜大学生(2回目〜6回目くらい)=疑問
・なぜミートパイがどうのとか、そういう面白くもないシーンがやたら多いんだ?なんの意味があるんだ?
・なぜ女性キャラを可愛くしない?
・なぜセリフが棒読みなんだ?
・なぜ函南はあんなにダルそうなんだ?
・なぜ草薙はあんなに怖いの?
・三ツ矢は何をあんなに騒いでいるんだ?
・みんななぜ死にたがる?
・結局何が言いたいんだ?

○社会人4年目(7回目くらい)=解決
・疑問の全てが解決した。
・こんな映画観たことない。
・正確には、映画を観てこんな気持ちにさせられたことはない。

(3)メッセージの場所
監督のメッセージは、実はめちゃくちゃ、バカみたいにわかりやすいところに置かれていました。終盤のセリフです。
「君は生きろ、何かを変えられるまで」
これ。でも、これを理解するためには、壁があります。
映画を観ている側が、キルドレたちと同じように「日々変わらない、永遠に続くような日常を、ぼんやりと生きていて、昨日のことも去年のことも違いがわかっていない状態」であり、観ている間ずっと、キルドレに共感をし続けていなければ、全く意味がわからない、または空虚なセリフに感じてしまうのです。セリフの、言葉の意味はわかっても、その本当の「意味」はわかっていなかった。それが私のこれまでの12年間でした。
この「意味」を理解するためには、解説を読むだけではだめで、少なくとも受け手が相応の人生経験があり、かつ、心の底から、人生に倦んでいる状態である必要があると思います。そういう意味では、かなり人を選ぶ作品です。だからあんま売れなかったし、理解されなかったんじゃないかと思います。
しかし、私はそれを、あえて言葉にして明らかにするために、大学生までの自分の疑問に答えるという試みを行ってみようと思います。それによって、この作品の意味がわからなかった人も、違う視点で観ることで、わかることがあるかもしれません。あくまで私の解釈なのですが、多分合ってると思います。というか、あの演出は、正直これ以外に説明がつかないです。
キーワードは「会社員のリアルな日常」です。

(4)疑問点に答える
・なぜミートパイがどうのとか、そういう面白くもないシーンがやたら多いのか?なんの意味があるのか?
まず、戦闘機に乗ったり、仲間が死んだり、「歳を取らない子供・・・『キルドレ』(意味深)」が出てきたりで、巧妙にカモフラージュされてしまっていますが、本質的にこの映画は、最後の十分を除いて「とある会社員のリアルな日常」を隠しカメラで撮っているかのように、ただ淡々とありのまま垂れ流している映画なのです。

〜〜【会社員視点で観る「スカイ・クロラ」】〜〜
部署異動した函南優一くんが、上司(草薙)に挨拶する。上司が無愛想だけど、まあ、仕事中だしそんなもんだよね。上司が煙草仲間でラッキー。

歳の近い先輩(土岐野)が仕事終わりに飯に連れてってくれて、そのあと一緒に風俗に行く。良い先輩だね。

優一くんは、前の部署と仕事内容は同じなので、新しい部署にすぐ馴染む。下っ端なので会社見学の応対をやらされたりする。

上司がミスをした管理部門に文句を言いに行くのに付き合ったら、その過程で仲良くなる。上司も人間だね。

他の部署と統合があって、同僚が増える。

新しい同僚の女(三ツ矢)が「毎日が同じ仕事の繰り返しで成長の実感が無い」と愚痴ってくるのを聞き流す。

新しい同僚の女が上司と揉めたので取りなす
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
だいたいこんな感じです。こう見ると函南が会社員として、というか部下として理想的な動きをし過ぎていて、尊敬します。

ということで、「会社員のリアルな日常を描く」ことが目的なので、何を食べているのか、何を飲んでいるのか、っていうのは、演出上すごく大切なのです。だから「ミートパイばっかり食ってる」っていうのは「吉野家ばっかり食ってる」みたいなもので、リアル感を出すため。
「面白くないシーンばかり」っていうのは、当たり前です。
なぜなら、ご存知の通り、会社員の生活は「面白くない」からです。これはつまんない会社員生活をやったことのない人にはわからないです。つまり、大学生までの僕がこの映画の意味がわからないのは、当たり前だったんですね。

今観ると、部署統合の際のパーティの手作り感とか、パーティで上司(草薙)が他の偉い人と話している感じとか、会社のどんよりした閉塞的な空気感がめちゃくちゃリアルに表現されていると思いました。

・なぜ女性キャラを可愛くしない?
上述の通り「会社員のリアルな日常を描く」ことが目的だからです。
職場には、アスカや綾波レイミサトさんはいません。いたらリアルじゃないです。だから草薙や三ツ矢を可愛くできないんです。可愛くした瞬間に、それは私たちのリアルな生活から離れて「みんなが憧れる非日常」になってしまうから。
最初に草薙が函南の前で服を脱ぐシーンが、絶望的なまでに色気が無いのは「あえて」です。あくまで「日常の気だるさ」を維持するため、そこで日常のテンションを上げさせないためです。
逆に、非日常の象徴である、娼婦たちや、職場に遊びにきている女の子(瑞季)はわりかし美人だったり動きが可愛いです。しかしそれもやり過ぎないようにしている努力が窺えます。

・なぜセリフが棒読みなんだ?
「会社員のリアルな日常を描く」ことが目的だからです。
職場で抑揚をつけてドラマチックに喋るやつはいません。
だから長ゼリフもありません。リアルじゃないからです。
あくまで、必要な時に、必要なだけ、必要なトーンで喋るというのを、徹底しているんです。

・なぜ函南はあんなにダルそうなんだ?
単に「職場に行って、仕事をして、飯を食って、風俗に行って、寝て」という繰り返しの生活に慣れきっていて、何も新鮮なことが起きないからです。別に函南はダルいから積極的にそう振舞っているのではなくて、普通に長年同じ仕事をしてたらそうなるだけです。証拠に、周りの人は函南のテンションに何も言いません。職場であんな感じの人はざらにいます。

・なぜ草薙はあんなに怖いの?
怖いというか、無愛想なだけで、その無愛想も、仕事中だからです。ましてや草薙は上司ですし。草薙からしたら、なんで仕事中に愛想を振りまかなきゃいけないんだ、という話です。プライベートの時や、二人きりのときは、わりと態度が軟化するのは、オフだからというのもあるし、周りの目が無いため、上司としての振る舞いをしなくて良いからでしょう。

・三ツ矢は何をあんなに騒いでいるんだ?
リアルな日常をただ繰り返すだけの人生の無意味さにショックを受けているからです。「職場に行って、仕事をして、飯を食って、寝て」という繰り返しの生活をしすぎて、この生活がいつまで続くのか、この繰り返しに、人生にいったいなんの意味があるのか、ということに不安になっているのです。

ここは、戦死しないと死ねないキルドレだからこその悩み、ともとれますが、我々にも該当します。同じ職場で、新卒から定年までを同じ仕事をして過ごすことを考えると、それは若者からしたら、永遠のように感じます。
何も刺激的なことは起こらず、ただ繰り返しの毎日が、40年間続く、ということに気づいてしまった若い会社員ということです。しかし、気づいたからといって、必ずしもショックを受けっぱなしではないです。そのショックにもいずれ慣れます。土岐野は気づきながらも、それを無視して淡々とした日常を送ることにしているし、函南も同様です。ただ三ツ矢はおそらく、年次が浅いからか、そこに疑問を持ってしまったのです。
私は今25歳ですが、部署異動のあまりない仕事をしているので、このまま何もしなければ、今と同じ仕事を、50歳になってもしている様が容易に想像できます。なぜなら先輩たちがそうだから。
私は三ツ矢の気持ちが、今はわかります。ただ漠然と不安なのです。
可能性も、希望も、生きがいも、新鮮なことも、普段の生活にはなにも無いから。

函南 :繰り返しが無意味であるということでさえ、どうでもいいというか、そういうものだと受け入れている
三ツ矢:繰り返しの無意味さに耐えきれず、何かをしなければと焦っている
土岐野:繰り返しが無意味であることは受け入れつつ、できるだけ日々を楽しもうと自分で努力している

大学生までは、まだ、人生や日常に新鮮さがあふれていました。だから、三ツ矢の気持ちがわからなかったんですね。

・みんななぜ死にたがる?
この疑問を抱く場合「このまま生きていて、なんの意味があるんだろう」と思ったことがないか、「人生になんの意味があるとか、悩むの、若いね〜」と思っているのではないでしょうか。
若い時は全てが新鮮だし、可能性に満ちています。高校生は、大学生活を夢見るでしょう。大学生は、どんな仕事をしようか、と考えるでしょう。初めての受験、初めての彼女、初めての就活・・・新鮮なことばかりです。
しかし、就職して、働きはじめて、しばらく経つと、それ以降はすべてが繰り返しだということがわかります。給料で美味しいご飯屋さんに行っても、最初は新鮮だけど、そのうち慣れてしまう。ゲームをしても、映画を観ても、小説を読んでも、なんだか昔のようにワクワクできない。全てに無感動。しかし人生は続くので、各々その無意味さに折り合いをつけながら、生きていくのでしょう。
でも、折り合いをまだつけられていない場合、ショックで悩みますし、苦しいですし、精神的、物理的に人に危害を加えたり、自分を傷つけたりするでしょう。それが、草薙や三ツ矢、栗田ということです。

・結局何が言いたいんだ?
押井守さんが言いたいのは、
「君は生きろ、何かを変えられるまで」
ということなんですが、これは函南の草薙に対するセリフなので、直接的な客へのメッセージではありません。
言葉を補うなら、このような感じかと思います。
「仕事がだるいのとか、未来に可能性が感じられないのとか、これから人生が良くなると思えないのとか、何も新鮮なことが起きないのとか、楽しみが無いのとか、感動がないのとか、やりたいことがないのとか、それでも人生が続いてしまうこととか、そういう風に思ってしまうの、全部わかるよ、すごいわかるよ。でも、変わらない変わらないって、嘆くのはわかるんだけど、提案なんだけど、それでも、君だけは、何かを変えてみようと、してみないか?絶望的にまで変わらない日常を、何か変えられた、と、そう本当に思えるまで、君だけは生きてみないか?」

このメッセージを効果的に伝えるために、映画の90%を「とある会社員のリアルな日常」つまり、私たちの多くの生活そのものを表現することに費やしているんだと私は解釈しました。

(5)私の感じた感動
「君は生きろ、何かを変えられるまで」
函南のこのセリフは、何回も聞いていましたが、就職して3年が経ち、キルドレのように、終わらない、代わり映えのしない、刺激と感動の無い生活に嫌気がさしている今、聞いたとき、前述の押井さんのメッセージが頭に流れ込んできて、誇張なしに、頭からつま先まで電流が走りました。思わず「そういうことか!」と声を出して、震えました。

あたまごなしに「文句ばっか言ってないで、何か変えられると思って生きてみろよな」と言われたなら、何も響かないでしょう。うるせえ、あんたは才能があったり金があったり有名だからそう言えるんだろ、ってなるだけです。
監督が、若者の抱きうる苦しみを、芯から理解した上で、そう言ってくれているということが、演出から、セリフから、キャラの芝居から、映画の90%を通じて表現してくれていて、わかるから、最後のセリフ「君は生きろ、何かを変えられるまで」を素直に受け取れるんです。
押井監督は、すごく優しい人だと思います。監督の、若者を包み込んで、道を示す優しさを、私は感じました。
余談ですが、私は監督に一度お会いしたことがあります。監督の新書のサイン会で、握手をしました。ぐっ、と握手をしたら「力、強いね」と苦笑しながら言われていました。その目が優しくて、とても暖かい気持ちになったのを覚えています。

退屈な人生に嫌気がさしている人は、「スカイ・クロラ」をもう一度みてみてください。

【ゲームレビュー】HADES

HADES

 

ハデス、といいつつ主人公はハデスではない。

とても良いゲームで安いのでおすすめ。

 

◯良ポイント

・世界設定

・キャラクター

・イラスト

・テキスト

・難易度

・武器バランス

ゲームデザイン

 

 

◯各項解説

・世界設定、キャラクター、イラスト、テキスト

 

これらまとめて、雰囲気とでも言おうか。

ハデスの息子が家出をするのを、親戚の神々がこっそり手助けしてくれる、

しかもその神々がそれぞれかっこいい、というゲームの前提設定の時点で、

もうこのゲームは勝っていると思った。

 

膨大なテキスト量によって、それぞれの神々の個性が明らかになっていくのも

面白い。そして翻訳が完璧。

不自然な日本語が全くない。そしてキャラごとに話し方が書き分けられている。

エルダースクロールズの続編はぜひ、この翻訳チームにやってほしい・・・

 

ボスキャラが元々同僚で、酒場で話せたりするのも面白い。

全体的な雰囲気がユーモアとクールさに溢れていて、個人的には最高。

 

・難易度

一周クリアすると難易度上昇させて報酬を増やす選択肢が

増えるが、これが鬼畜過ぎないのが良いし、自分で調節できる。

 

似たようなゲーム性のDEADCELLSでは個人的には難しくなりすぎて、

難易度を上げてプレイすることはなかったので、

良いポイントだと思った。

 

・武器バランス

壊れ武器が無いし、どの武器でも一周はクリアできるということで、

全部の武器を使うことに抵抗がない。

 

毎回ランダムで報酬ボーナスのつく武器が選ばれるので、

それに従って毎回違う武器でプレイしているが、

それがストレスではなくむしろプレイ感覚が変わっていくのが面白い。

やらされている感が全然ないのが、レベルデザイン、武器デザインの美しさを感じる。

 

ゲームデザイン

本質的にはありがちなローグライト

(引き継ぎ、永久強化要素のある、一周ごとに進捗をロストする周回前提のゲーム。引き継ぎ要素がない場合ローグライクより、繰り返しプレイで自己を強化していく点  にたのしさがある)

であり、楽しさの基本はテンプレ通りなのだが、それは悪い意味ではなく、

ちゃんと基本的な楽しさから逸脱していないという点で評価したい。

というかこの基本的な楽しさがちゃんとできているだけで貴重。

 

また、周回するモチベーションの多さが半端ない

 

・施設、武器の永久強化のための報酬集め

・ストーリーの進行

NPCの会話

・アクセサリの強化

 (戦闘回数でレベルが上がっていく)

NPCの好感度上げ

 (好感度が可視化されているのも◯)

・武器のバージョン違いの性能差 

 (6かける4で24種類の武器があるので、これを一回ずつ試すだけでも24周できる)

 

ので、一周目クリアしてからが本番という感じ。

ストーリーもまだまだ全然明らかになっていない。

 

値段の割にめちゃくちゃ楽しめる。

日本一ソフトウェアがフルプライスで売っていたヴォイドテラリウムも、

これくらいの値段(3000円くらい)で売ってたら、もっと広まったろうに・・・

 

 

【読書記録】ヴォルテール「哲学書簡」

ヴォルテール哲学書簡」

 

◯概要

フランスの作家、ヴォルテールのエッセイ集。

 

内容は大まかには、

・クェーカー教徒に突撃取材してみた

・さまざまな偉人について

・自然科学について

パスカル「パンセ」にツッコミを入れてみた

であるが、この中でもヴォルテール氏の熱量を感じ、面白かったのは、クェーカー教徒への取材とパンセの批判である。

 

◯クェーカー教徒に突撃取材してみた(「クェーカーについて」)

 

今風に言うなれば、新興宗教の信者に話を聞きに行ってみた、というYouTube動画か週刊誌の記事のような雰囲気を感じる章である。

私はキリスト教徒ではないので、異端とされているクェーカー教徒については何の感情も抱いていない。

なのでヴォルテール氏のいう「風変わりさ」というのがいまひとつピンと来ないのだが、クェーカーがどういう宗派なのかが分かりやすく、読みやすく書かれているので楽しく読んだ。

 

クェーカー教徒の特徴

・帽子を脱がない、敬語を使わない、敬称を使わない

・洗礼を受けない、割礼をしない

・聖体拝領等の儀式をしない

・遊技場、芝居小屋、賭場に近づかない

・戦争に行かない、人を殺さない

・司祭を認めない

 

キリスト教徒の私からすると、儀式や洗礼については正直よくわからないが、敬語、敬称を使わないのは日本人だったらまともに生きていけないだろうなというのは、想像がつく。端的に言えば嫌われるだろう。敬うのは唯一の神だけであり、世俗の価値観には惑わされないということだろうか。慶應義塾大学では先生は福澤諭吉先生のみであり、教授であろうと「〜〜君」と呼ばれるという風習を思い出した。(実際には学生は普通に教授のことを先生と呼ぶが、掲示板等に貼り出される公式文書では「〜〜君」と表記される)

 

興味深かったのは、アメリカのペンシルバニア州の名前の元になった「ウィリアム・ペン」氏についての箇所である。

クェーカー教徒のウィリアム・ペンは父親の政府への貸金を返してもらう代わりに、アメリカの土地を政府からもらった。そしてなんとペン氏は、クェーカーの教義ゆえか、他のキリスト教徒が先住民を迫害しまくっていた中、先住民を殺さず、友好的な関係を築き、約束を守り、対等に扱い、慕われていたというのである。

 

私はキリスト教徒ではないので、キリスト教の本流を批判するつもりはないが、このエピソードだけ聞くと、なぜクェーカー教徒が異端として不遇な扱いを受けているのか、わからない。

 

ヴォルテールも、クェーカーを風変わりだとする姿勢は崩してはいないが、こうした良い点については認めているようである。(あるいは、ペン氏を認めているだけかもしれないが)

 

良心的兵役拒否について描かれた映画「ハクソー・リッジ」を思い出した。

(当該映画の主人公はクェーカーではなくセブンスデーアドベンチストであるが)

 

 

パスカル「パンセ」にツッコミを入れてみた(「パスカル氏の『パンセ』について」)

 

「パンセ」の色々な箇所を引用しながら、痛烈に批判している。パンセについてもパスカルについてもよく知らないが、その筆の勢いの良さに笑ってしまう。しかも長い。本書の30パーセントがこの章に充てられている。

 

内容は、ユダヤ人について、や、神について、など、正直馴染みの無いものばかりだったので、よくわからなかったが、熱意だけは伝わってきた。